しろまち堂~こちらも本館ですがただいま休館中の旧館です~

旧ブログ名は『ワタシノスキナコドモノ本』、本の紹介や本に関するアレコレを語る、『しろまち堂』のメイン館でしたがただいま休館中のため、こちらは旧館でございます。『しろまち堂』は『本館・新館』のほか、『~音楽・映像館~』、『~写真・旅行館~』『~縁側~』もございます。煩雑ですがあわせてよろしくどうぞです。

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三部作で活きる本――バーティミアス サマルカンドの秘宝・その1


バーティミアス-サマルカンドの秘宝

シリーズものって、尻上がりに面白くなっていくものって意外と少ない気がします。
最初の巻はおおっ!と思わせるインパクトがあって、だんだんあらあら?となっちゃう作品
意外と多いんですよね。

このシリーズは逆で、最初はアラ?でしたが、巻が進むごとにおお~!となっていきました。
なので、この最初の巻はまだ「アラ?」なんですが、とりあえずここから話を進めていくことにします。

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どんぐりと山猫・その3

どんぐりと山猫 (画本宮沢賢治)どんぐりと山猫 (画本宮沢賢治)
(1979/05)
宮沢 賢治小林 敏也

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はい、どんぐりと山猫、〆は今回もパロル舎の小林敏也さん挿絵です。


この本の挿絵では、一郎くんほとんど登場しませんね。
最後の方に後姿がちらっと出てくるくらい。
ほぼ風景なんですが
パッと見わからないように、山猫の顔がかくしてあったり
滝の笛吹きがちゃんと顔になっていたりと
隠し絵ふうに作っているところがたくさんあって、じっくり見る楽しさがあります。

そして馬車別当がとびきり奇妙です。(表紙参照)
他の人の馬車別当はなんだかんだいっても人っぽいのですが
小林さんの描く馬車別当…ヤギ、でいいのかな?って感じですね。
なぜ足じゃなく顔までヤギなんだ。と突っ込みそうになりながら見つめてしまいました。

で、馬車別当、アップは山猫よりはるかに少ないのですが
小さいくせに挿絵のアクセントにとても上手に使われているので
とても目立ちます。ステキです。

山猫はフツーですね。かっこいい山猫ってかんじ。
忘れられない、というほどのインパクトはないです。

そしてどんぐり。
この本のどんぐりが、3冊読んだ中で一番たくさんいます。
そりゃもう確実です。
なんたって、表紙の見返しが一面どんぐり。
草に隠れて現れるシーンはあるは、二重写しになっているシーンはあるはで
これだけいたら、一升くらいにはなるでしょうと感心しました(笑。

この絵本は中の絵がフルカラーじゃなく2色なのですが
そのよさをうんと使って描かれていますね。


文章もいいです。
現代かなづかいにして、旧かなづかいのカッコなどはこの本ではつけていません。
なので読みやすいです。
ほかの本よりはるかに大きい活字。
文章のページ割もいい区切り方です。


多分、いままで読んだ「どんぐりと山猫」のなかでは
これがベストバージョンだと思います。
(でもこれ、カラーだったらどんなふうになるのかも知りたいなぁ…)

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どんぐりと山猫・その2


どんぐりと山猫 (ミキハウスの絵本)


はい、こちらは挿絵が田島征三さんですね。
なんというか、ダイナミックというしかないようなパワーあふれる絵です。

こちらの一郎くんはやんちゃ坊主、という感じ。
知恵を買われてハガキがきたって雰囲気じゃないかも(笑。

山猫のところまでたどりつくのに、なぜかこの本の方が遠かったように思えます。
挿絵の数が多いのと、俯瞰で描いた絵があるからかな?

そして、たどりついて出会った馬車別当がコワい!
なんかこう、奇妙さ抜群ですね。
繊細な女の子じゃ引いちゃいますよ、多分。
(しかしこれは原作の文章の雰囲気にとてもあってると思う…)


山猫は…馬車別当ほどじゃないです。
どんぐりがわらわらと出てくるシーンはよかった。
どんぐりのたくさん感とうるささがわかります。

田島さんは、小さいもののごちゃごちゃ感が上手なんですね。
まえに出てきたキノコもよかったし。


大声の部分や、ざわざわしたところなど
音の表現がうまい方です。
静まったシーンはそれにくらべるとやっぱりそんなに響きませんね。


この本も文章は明朝体のちいさめの活字。
ただ、
「読みやすさを考慮して読点を足した個所があります」
と奥付に記入があります。
これは読みやすいと判断すべきか、著者の意図とちがうものがあるのでは?と判断すべきか
悩む部分ではありますね。


男の子が多い読み聞かせ会ならいいかな。
同じ読み聞かせ会でも女の子が多いと多分不評だと思います。

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どんぐりと山猫・その1

どんぐりと山猫どんぐりと山猫
(1989/05)
宮沢 賢治佐藤 国男

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またもや宮沢賢治です。今回はこちら、「どんぐりと山猫」。
数回お付き合いください。


その1の挿絵は佐藤国男さん。木版画です。

この絵本を見て第一に思ったのが
「一郎くん、ハンサムじゃん」でした(笑)。
なんというかね、利口そうな顔っていうのでしょうか。スッキリとしてて頭よさそうな顔なんですよ。
なるほど、これなら裁判に呼ばれるかもって感じ。
そして、山猫が呼んだ裁判がどんぐりに関することだよ というのが、最初の見開きの絵で暗に示されています。
モチーフとしてちりばめられているんですね。

翌日の山猫を訪ねる道のりは特別な描き方をしているわけじゃありません。
キノコがちょっと変わってるくらいかな。

馬車別当もおとなしめですね。特徴はそのまま描きあらわしていますが
わりにソフトな描き方です。
版画で背景を細かく描きこむのはやっぱり難しいのか、全体的にあっさりとした感じ。
風景の美しさを描いた文章のシーンでも、人物が中心になっていますね。

どんぐりは…まあ、こんなかんじかな。
キノコと似てますね。すごーくかわいいというほどでもないですがユニークです。
木版画だと一つ一つが似てるけど個性的。個人的にはもっと同じようなのがいっぱいあってもいいわとか思っちゃいますが、まあ、それは画家の意図とは違うでしょうね。

佐藤さんの一番他の人たちと違うところは
一郎がお礼のドングリをもらう場面です。
もらったドングリをどうするか、吹き出しで考えてるんですね。
一方山猫は塩鮭の頭のことを考えているようです。しかし、なんでフランス語なんだろう。。。

終わり方は静かな雰囲気。一郎が描かれていないので
彼の回想がいつごろなされているのかわからないようになっています。
原稿用紙らしきものがあったり、帽子をかぶった男性のシルエットが見えたりするので
一郎は宮沢賢治なのでは…みたいにしたかったのでしょうか。


文でいうと、文字は小さめですが
版画の絵に合わせて墨と白抜きをうまく組み合わせているので
読みにくいことはありません。
字はけっこう小さいですね。ページ数とか絵に合わせて文章の量を調節した結果と思われます。
絵と文章の内容をしっかり合わせて書いているので違和感はありませんが
ちょっと残念に思われるのは
絵があまり大人向けではないというか、小さい子でも楽しめるタイプなのに
文字の大きさ、文章の量がそれを阻むのじゃないかなぁと思うこと。
読み聞かせのみならいいですが、聞いて面白かったから自分で読みたいと思っても
挫折する子がでそうです。


使っている色が少なく、シンプルな絵本なので
宮沢賢治にどっぷりつかってない人でもけっこう楽しめると思います。
大人と読み聞かせ用にいいと思われます。









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もうちょっとおまけ――台所のマリアさま・その2

きのうの続きです。


挿絵のことを書くの忘れてました。
C.バーカーという人です。
線画のタッチはキーピングに似た感じですね。
特徴的なのはカラーのイラスト。
話に合わせたのか、もともとの作風なのか
切り紙のコラージュ風に描いているところもあります。
そして、なんていうんでしょうね。「描きかけ」の白抜きっていうんでしょうか。絵の中にある白の部分が2種類あって、塗った白とあけた白って感じなんです。余白でもない、「ここは白だから塗りませんでした」って感じ。その部分がすごく自己主張してます。

グレゴリーが作っているものを描いたカラーの挿絵が数か所出てくるのですが
これがとてもいいです。
未完の絵と完成品の絵、どちらもすごく魅力的です。
この完成品の絵を見て、同じもの作ってみたいなーって思うのはきっと私だけじゃないだろうなー。


ゴッデンの作品の主人公は、たいていうまく立ち回るのが苦手なタイプですが
その無骨な様子が、絵からも伝わってきます。
彼の姿が一枚も描かれていないのにこれがわかるというのは、なんとも不思議な感じですが。

粗い線と、強い色遣いやコントラストが
内容を一層はっきり強調している
すばらしい挿絵です。

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台所のマリアさま(ルーマー・ゴッデン文 C.パーカー絵 評論社)

子どもというのはいろいろです。
そして、みんながみんな、子どもらしい子ども、というわけではないのです。。。


この物語の主人公のグレゴリーは、とても繊細な男の子です。
なので、お手伝いがしょっちゅうかわることもいやですし、彼女たちがお休みを取るたびにあちこちへやられるのも嫌いです。
彼が家に求めているのはいつも変わらない落ち着いた環境なのですが、家族には理解されていません。

そんな彼の家にお手伝いとして新しくやってきたマルタ。
ウクライナの難民です。料理が上手で、いつも家にいてくれます。
グレゴリーだけでなく、家族みんながマルタを気に入っています。
グレゴリーの家に不満があるわけではないのに、マルタにはどこか淋しそうなところがあります。
どうしてなんだろう?
グレゴリーはある日、その理由を知りました。。。


繊細で表現が不器用なため、頭はいいけれど自分のことをうまくわかってもらえないグレゴリー。
彼のことを理解できないのは家族がみな、グレゴリーと違う価値観なのもあるでしょう。
人と遊ぶことやお客様がくるのは楽しいこと。
そんな社交的な人ばかりではないのが家族に伝わっていないのがよくわかります。
だからこそ、グレゴリーは同じような感性のマルタに安心感を覚えるのです。

マルタが幸せではない理由を知ったグレゴリーは行動を起こします。
つまずいたり、失敗したりをたくさん繰り返しますが
それでもあきらめることをせず、マルタの望みの物をつくろうと努力し続けます。
そのことによって、それまで繊細さのため閉じていた彼の内面が少しずつ開かれ
妹や周囲の人との交流も行われるようになるのです。

本当を言うと、この物語のなかで両親の存在感は大変にうすく
愛情はあっても、理解や注意が子どもたちにあまり注がれていないようで残念です。
とはいえ、両親の存在感が濃ければ物語自体が別の方向を向いていたでしょうから
それはやむないことでしょうね。

グレゴリーがマルタのために作ったのは彼女の宗教のよりどころ。
宗教に関して抵抗感があるかたにはおススメできないかもですが
愛情がもたらす行動の美しさと、それにより人が変化することの素晴らしさがよくあらわされている作品ですので
ご興味おありの方にはぜひご一読いただきたいです。


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おばあさんの飛行機


おばあさんの飛行機 (日本の童話名作選シリーズ)

佐藤さとるさんといえば村上勉さん。
「赤んぼ大将」シリーズや「小さな国」のシリーズで、これ以上のマッチングはないと思わせてくれたお二人です。

今回紹介するのは、絵本なのですが、最初に読んだときは全集だったのか、短編がいくつか入っているなかの1話でした。
で、その時はうんうんとうなずいて読んでいたのですが…。


絵本になったのを知って、期待して読んでみたら、なんか違う…。
たぶん一番はおばあさんのイメージですね。
丸顔のおばあさんと文章で説明しているのですが
なんかねー、細身のスリムなおばあさんなんですよ。。。
飛行機に乗って飛ぶからスリムにしちゃったのかしら。

それと、まあ、男の方ですからね~、ムリないとは思うんですが
編み物が微妙にヘンなんです。
毛糸玉の部分と編んでる部分の糸の太さが違うとか
色を変えてなくちゃおかしいのに毛糸一種類しか使ってないとかね。。。

編み物自分でする人間なので気になって気になってしょうがないのです。
読み方が細かすぎるのかなぁ。。。


個人的には「かぎばあさん」の挿絵を描いている岡本颯子さんの挿絵だったらどうかなぁ
なんておもいます。あのかわいくてまるっとした雰囲気が
わたしにとっては、この作品のおばあさんのイメージなのです。

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あの女はろくでなし

アンデルセンの作品です。
この本に収録されています。

自立 (Little Selectionsあなたのための小さな物語)自立 (Little Selectionsあなたのための小さな物語)
(2002/05)
赤木 かん子

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この本全体というより、今回はこの物語の紹介です。
というのも、アンデルセンの作品としてはそれほど有名ではないのですが
とてもいい作品なので。


洗濯女と息子の話です。
川で洗濯をする母親は、寒さしのぎに酒を飲むので周囲からは「ろくでなしだ」と言われています。
しかし、彼女は若いころ、金持ちの息子と恋をしたことがあり
金持ちの息子の母親に反対され、自分が正しいと思う道――金持ちの息子と別れ、自分の身分につりあうと思われる男と結婚していたのでした…。

愛し合い、結婚することが正しい形だというロマンスの本は多くありますが
相手のためにその愛をあきらめることもまたひとつの正しいかたちでありうる
ということが、洗濯女の話からわかります。


話を聞いた(読んだ)あとには、物語の最後に洗濯女の息子がする
「おかあさんはろくでなしなの?」という問いかけには
だれもが「そんなことはないよ」と答えたくなることでしょう。

見た目の裏側、現れない心とその美しさ・強さ
短い中にそんなものを感じさせられる話です。

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