しろまち堂~こちらも本館ですがただいま休館中の旧館です~

旧ブログ名は『ワタシノスキナコドモノ本』、本の紹介や本に関するアレコレを語る、『しろまち堂』のメイン館でしたがただいま休館中のため、こちらは旧館でございます。『しろまち堂』は『本館・新館』のほか、『~音楽・映像館~』、『~写真・旅行館~』『~縁側~』もございます。煩雑ですがあわせてよろしくどうぞです。

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キツネ

大人絵本会のお題の本です~


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
野火で羽を傷めたカササギはイヌに助けられ、生きる希望を見いだす。無二の親友となったイヌとカササギだが、ある日、孤独を抱えたキツネが現れると何かが狂いはじめた。カササギの心に起こる動揺…。友情、裏切り、嫉妬、孤独。人間の性ともいえる様々な感情がうずまく。生きることの喜びと哀しみを凝縮した、ワイルド&ブルックス渾身の作品。

マーガレット・ワイルド 文
ロン・ブルックス 絵
BL出版

ディープな絵本ですよ…
マーガレット・ワイルドさんの作品は、この「キツネ」がはじめましてでして
その後別の作品も読みました。

子どもよりも大人の方が読んでうなって考えこむ…みたいな話を書く方だなぁという印象でした。
作品をまとめて絵のない短編集の文庫本とかにしてもアリなんじゃないかしらん?

この「キツネ」は三角関係とか嫉妬とかがテーマっぽくて
ちょっと宮沢賢治の「土神と狐」を思わせますね。狐の立ち位置は違いますが。


この本を子どもに紹介するときに、声を大にしてお願いしたいことが。

感想を強要しないで。強要と思わなくても
問いかけることはできれば一切しないでほしい。
子どもが語るのを聞くのはいいけれど、
語られない限りはなにも言わず
そっとしておいてあげてほしい。


この本はそれくらいデリケートな内容で
小さい子が読むとしたら(読んでもらうとしたら)不用意に触れられたり誘導されるべきではないように思うんです。
特に読んだ直後に何かバーンときたとしたら
その気持ち・考えは
寝かせて落ち着かせ、発酵させて確かめて
もしかしたらその後も変わっていくかもしれない
でも
それに対してYes,Noを他人が言うべきではない
というのがワタシの意見です。

大人なら語りあうのもアリだと思うし
語ることによって触発されることもあるでしょうけれど
子どもの場合、大人という「上」からの干渉で変わってしまうものがあったり
刷りこみが入ったりすることで
何かが歪んでしまう。もしかするとそれは深いところかもしれない。
可能性ですけど、ないとは言えないんじゃないかなぁ。

だって、キツネの行為だけを取り上げて
「そんなことしちゃいけないよね」
っていっちゃうのは簡単だけどもさ
(そして道徳や小学校の国語で出そうなニュアンスだけどもさ)

大人目線で読んじゃうと
犬とカササギの関係って全然単純な友情なんかじゃなくて
「足りないところを補いあう」ように見えて実は「共依存だったりしない?」とかも読めるし
異性の恋愛っぽいムードも漂っているような。

大人なら「それもこれも自己責任」という乱暴なくくり方もアリなんですよ。というか、アリだと思うのですよ。



それを大人から子どもへのメッセージにしちゃうと
それは価値観の押しつけになるわけなんですな。
そして、メッセージを伝えたい側の気持ちがうまく伝わるかというと
はなはだ疑問。
ってくらい微妙かつややこしい感情的な問題を
この本は扱っているんでは?

なのでまあ
「読むのはいいけど、その後は静観」
というのを守っていただきたいなと主張したいのですよ。
この本が全体的に情緒的な部分を意識的に排除したかのようなトーンで
盛り上げられるはずの物語の最後でも
カササギをまつり上げることをせず、かといってキツネを必要以上に貶めるようなウェットさも使わず
ただ短い言葉と行為で状況だけを伝えているようにね。

さてさて
内容というかメッセージというか私見というか
そんなんばっかり先走っちゃいましたが
絵についても少し語りますかね。

インパクトの強い、乱暴なタッチを使って描いていて
文字も手書き風の引っかき文字みたいな感じです。
そんでもって
なんかこう、アンバランスなんですね。
動物の顔は非常に丁寧なのに
つま先はわりとぞんざいだったり。
描けないからではなく
何かの意図でもあるからなのかしらん?

印象的なのはキツネの眼!
アップのシーンがありまして
非常~~~~にきれいです。
カササギはこのキツネの眼を「おそろしくってしかたがなかった」と文章では表現していますが
この「おそろしい」には「惹かれる」もガッツリ隠れてるんじゃない?と深読みしたくなってしまってしょうがなくなるような
それくらい美しい眼。
このあたりの感想は、文章だけでなく、絵で想像が膨らませられているんでしょうね。

好き嫌いはもちろんあると思いますが
この物語の強烈な内容には
これくらい強い絵がいいのかもしれないな…
と思わせられました。

文も絵も
一筋縄ではいかない作品ですので
(本を読むのに構える、というのもアレかもですが)
ちょっとどしっと腹を据える気になって
気負けをしないような意識で読みになるのがいいのかもしれませんです。




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