しろまち堂~こちらも本館ですがただいま休館中の旧館です~

旧ブログ名は『ワタシノスキナコドモノ本』、本の紹介や本に関するアレコレを語る、『しろまち堂』のメイン館でしたがただいま休館中のため、こちらは旧館でございます。『しろまち堂』は『本館・新館』のほか、『~音楽・映像館~』、『~写真・旅行館~』『~縁側~』もございます。煩雑ですがあわせてよろしくどうぞです。

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磁器のサラマンダー (『無伴奏ソナタ』収録作品)

恋とは違うけれど相手への思いは深い。
愛と呼ぶ愛、愛ではないと言う愛の1側面を味わってみたい方に。


収録作は
「エンダーのゲーム」
「王の食肉」
「呼吸の問題」
「時蓋をとざせ」
「憂鬱な遺伝子を身につけて」
「四階共同便所の怨霊」
「死すべき神々」
「解放の時」
「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」
「磁器のサラマンダー」
「無伴奏ソナタ」

著者はオ―ソン・スコット・カード
出版社は早川書房です。



ホントはですね、カードの「ソングマスター」を紹介したかったんですが
まだ力量不足なのか?紹介しきれず…★

代わりに、というわけではないけれど
初期短編集『無伴奏ソナタ』から『磁器のサラマンダー』をば。
SFですがおとぎ話風なので、わりとどなたにも受け入れていただきやすいはず。

この作品集、傑作多しですので
また別の作品を紹介する可能性もあろうかと思われます。

個人的にはコレ、 東 逸子さんの絵で絵本読みたい!!
東さんの磁器製サラマンダーはツヤツヤすべすべキラキラで、ゼッタイいいと思うの~!

ちょっと長いけど、あらすじ紹介しますね。

生まれたときの心ない父親の言葉により呪いがかかっているキーレン。
「わたしが妻を愛していたのと同じくらいに愛する誰かを失うまで、おまえは生涯、わずかなりとも体を動かすことはかなうまい!」
キーレンの様子は父の呪いの言葉よりはマシな状態で成長しましたが、
それでも身体を動かすには大変な疲労を感じます。
父は深く後悔していますが、己の呪いを取り消すことはできず
罪悪感に耐えかねると旅に出て、娘のためになるものを入手して戻る…その繰り返し。

11年目に
父親がキーレンに持ち帰ったのが磁器のサラマンダーです。
「治癒を果たしてくれるもの」として手に入れた、サラマンダーのモデル。
始終動き回るが命はない。一度でも止まるとただの磁器になってしまうそうな。
いっときもじっとしていないこっけいなこのサラマンダーはたいそう魅力的で
キーレンは彼に慰められ、前よりも幸せになり、そして前より丈夫になりました。

彼はキーレンにだけは話しかけます。
「ぼくがここにいるのはあなたのためだからです」
ふたりきりのときはおしゃべりをします。
そしてキールンはある日言葉にするのです。
「わたし、あなたを愛してるわ」
サラマンダーの答えは
「愛せないんです。本当に残念だけど」
彼には感情はない。生きていないのだから。
そう言っていますが、彼の存在自体が彼女に対する愛であり
キーレンはそのことに気づいています。

そして、愛が自覚されたそのことによって
二人の運命が決まります。
そう、父親の呪いが成就されることによって
キーレンは力を取り戻すのですから。

サラマンダーを亡くしてしまったキーレンの悲嘆をなぐさめる言葉は多少上滑りにも感じられますし
サラマンダーの行為を愛ではないと書ききっていることに疑問を覚えますが
(ワタシには、彼の存在そのものがキーレンへの愛であり、キーレンのために存在を消すことは
サラマンダーの愛以外の何物でもないと思えるので)
瞬間の美しさ、きらめきを閉じ込めた物語として
かなり秀逸な1作です。

キーレンとサラマンダーが愛について語る場面
ふたりの別れの場面
とても美しいので、ワタシのあらすじごときで満足せず
ぜひ原文をお読みいただきたいと思います。

愛と呼ばれるもののきらめき
そのかけらを
どうぞ味わってみてください。







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