しろまち堂~こちらも本館ですがただいま休館中の旧館です~

旧ブログ名は『ワタシノスキナコドモノ本』、本の紹介や本に関するアレコレを語る、『しろまち堂』のメイン館でしたがただいま休館中のため、こちらは旧館でございます。『しろまち堂』は『本館・新館』のほか、『~音楽・映像館~』、『~写真・旅行館~』『~縁側~』もございます。煩雑ですがあわせてよろしくどうぞです。

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どこからも彼方にある国

ル=グウィンがYAを書いていたなんて!?


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
人とのコミュニケーションが苦手なオーウェン。作曲家を目指す少女ナタリーには、悩みや進路のことをじっくり話すことができた…。友達であるナタリーをひとりの女性として急に意識しはじめて、二人の友情の歯車が噛み合わなくなり…。

著者はアーシュラ・K.ル=グウィン
絵はKONO SAKUYA
出版社はあかね書房です。

ル=グウィンの作品は、ゲド戦記を2回に分けて(その1 と その2) 
それから
空飛び猫シリーズの
空飛び猫
かえってきた空飛び猫
素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち
空を駆けるジェーン
を過去記事で紹介しています。


ホントはもっと紹介したい、でも、なかなか紹介が難しいル=グウィン作品です。
SFとかファンタジーの系統の作家さんだと思っていたら
こんなにナチュラルにYAを書いてらしたなんて!?と
かなり驚きました。

だってもう、最初の1ページから
「周囲にうまく紛れこめなくて途方に暮れているぼく」感が満載なのに
自己憐憫に満ちているわけではなく、妙に冷静。
ようするにアタマのいい十代なのがハッキリわかるんです。
でもって彼に共感し、ストーリーにひきこまれてしまう。
特別なことを書いているわけではないからこそ
物語世界にひきよせられるリアリティというのはとっても大事でして
今まで読んだ彼女のどの作品よりも早い段階で
グッと物語に引きつけられました。

主人公のオーウェンは、ひけらかしたりはしませんが
どうやら、自分で書いていることはかなり控えめで、ずいぶんアタマがいいみたいです。
でも、その分人付き合いが苦手。
たぶん、自分の望むものが周囲の子たちとは違うことを
自分もまわりもどこかでわかっているからなんでしょうね。

それは家族との間でも同じことで
「車(しかも新車)を買ってもらう」という
ティーンエイジャーなら飛び上がるようなことが
全然うれしくない、と、困惑しています。
「人の望む自分になれない」
これは繊細な十代には厳しいのですよね。。。
もちろん自分は人のために生きてるわけではないのです。
それは理解できていても
承認欲求ってなかなか無視できないものだからなあ。大人だってそうでしょ?
そこがうまくいかないので
なんとも居心地が悪いわけです。

そんな日々の中でふと話すようになった女の子・ナタリー。
彼女とはなぜかすんなりと会話ができます。
「通じる」感じがして仲良くなり育った友情ですが
男女であるがために途中からその友情が混乱しはじめてきます。

このあたりのくだりに関しては
リアル十代だと理解できる子、できない子がわかれてしまうかもなーと
ちょっと感じたり。
少なくても十代のワタシは理解しにくいような。
親友と恋愛は別でしょ?って思ってましたからねー。
でも深い結びつきを否定することはできないし
それがどのように流れていくかは
時間をかけて確かめていけばいいことであって。

そんなふうにお互いが気づいていくところがこの作品の素晴らしいところなんですよね。

興味の対象がちがっても話が通じ、共通点を見つけられる
お互い、相手の中に素晴らしい部分を見つけて尊敬しながらつきあっていける
そんな関係は貴重で
彼らはそう思える相手と出会えたのですから幸せです。

物語はほんの半年くらいの間の事を書いているので
その後彼らがどのように過ごしたのか?
気になったりもするのですが
でもこのふたりなら大丈夫、とも思わせてくれるので
続編は必要ないように思います。

ページ数はそれほど多くなく
読みやすいのに
十代の不安で不安定な時期をシャープに切り取ってかいま見せてくれる
名作なYAでした。






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