しろまち堂~こちらも本館ですがただいま休館中の旧館です~

旧ブログ名は『ワタシノスキナコドモノ本』、本の紹介や本に関するアレコレを語る、『しろまち堂』のメイン館でしたがただいま休館中のため、こちらは旧館でございます。『しろまち堂』は『本館・新館』のほか、『~音楽・映像館~』、『~写真・旅行館~』『~縁側~』もございます。煩雑ですがあわせてよろしくどうぞです。

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ステップファザー・ステップ

絵本のあとにまたミステリw
でも、この作品は青い鳥文庫にも入ってるくらいなので、小中学生でもオッケーっすよ♪

ステップファザー・ステップ

ステップファザー・ステップ
著者:宮部みゆき
価格:691円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

楽天ブックスより商品説明
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!

著者:宮部みゆき
出版社:講談社
表紙:荒川弘

宮部みゆき作品は
『サボテンの花』
『チヨ子』
『悪い本』
『女の首』
を過去記事で紹介しています。

この作品も出版された頃読んだなあ。

この表紙の講談社文庫が出たことで「満を持した」感があります。
なんでって?
そりゃー、荒川さんの表紙ですよ、素晴らしすぎる!!!

ちゃんと中学生、ちゃんとお父さんにしてはやや若い男性(しかもくたびれ加減がイイ感じw)。
足元にはストーリーに関連する小物がちまちまと。
難をいえばえくぼがほしかったですがw
そこまで贅沢をいうのはやめましょうか、ね♪

マジメな話、荒川さんファンだから、というだけではなくて
この表紙を見ながら本読むと、内容がさらに面白く感じます。
そうだよ、表紙ってそれくらい力があるんだよ、って思いだしました。
漫画家さんが表紙を描いている文庫って、いまは全然珍しくないですけど
絵のメッセージ性が強くなりやすいだけに
マッチングがなかなかに難しいのでは?と思うんです。
なので
こんなふうにピタッ☆とハマった本を見つけると
もう嬉しくて嬉しくて!

荒川さんは、いま「アルスラーン戦記」をコミカライズしていらして
それもなかなかに面白いのですが
この「ステップファーザー・ステップ」のコミカライズとか実現したらいいのにー!って思います。
かなり名作になると思うの。
確認のために笑わされて笑窪をみせる直と哲が見てみたい♪

とまあ、内容そっちのけで語りまくっておりますが
実はこの作品、設定はけっこうヘヴィーなんです。
だって、双子はまだ中学生なのに、両親が同じタイミングでそれぞれ駆け落ちしちゃって(!)るんですから。
ネグレクトですよ、放置は立派な児童虐待ですよ!まったくもう。
でも、双子は意外とケロッとしてて妙~にドライ。
だからドロボウの『お父さん』に言われちゃうんですよ。
「彼らの両親は、あの気のふれたお神酒どっくりみたいな双子を育てていると、自分たちのアイデンティティが壊れちまうと悟って逃げだしたのではなかろうか――と思っている。ことほどさように、あの双子さんは恐ろしい良い子たちなのである。」
ってね。

しかし、この『お父さん』も負けておりません。
最初のうちこそ辟易していたものの、物語が進むうち
ふたりが書いた文字の見分けもつくし、声の聴き分けだってできちゃうんです。
泥棒の元締め兼情報屋の親父さんに
「親はなくても子は育つが、子供がいないと親は育たねえ。おまえ、立派に成長しつつあるな」
って言われちゃうわけですよ。うふふ。
図らずも関係性が深まっていく、このあたりの機微はたまらないものがありまして
この親父さんたら、双子にご自宅の電話番号まで教えちゃうくらいの可愛がりっぷり。
親父さん曰く
「子供ってのは、いつ怪我をするか、病気になるか、わからねえもんなんだ。夜中だって安心できねえ。仮にも父親役を務めるなら、そういう突発的な事態にちゃんと対応できるようにしておいてやらねえと、可哀相だぞ。」
だそうでして、うーむ、一理ありますねー。

そんなこんなで、関わるのはアヤシイお仕事でありつつも安心できる(?)大人なので
双子たちは事件がありつつも過ごしております。
トラブルに巻き込まれたとき対応できない、いわゆる普通の大人とは違う頼もしさがナイスでございます。

でね
ストーリーの展開ももちろん面白いのですが
わたしがこの作品をずっと憶えているのは、とても印象的な場面がありまして。

双子にたいして『お父さん』がキレる場面があるんですよ。

双子は『お父さん』に懐いているので、正月にも一緒に過ごそうよーと無邪気に誘うのですが
『お父さん』は拒否するんですね。もしかして、親が帰ってきたりしたときのことを考えろ、ってね。

「俺が言いたいのはな、俺だって淋しいと感じるってことさ。除者にされたなら。もう要らないよと放り出されたなら。おまえらは俺を、実の親の代用品、取り替えのきく部品だと思ってるらしいけどな、俺にだって感情はあるんだぞ。だから、おまえらと楽しく正月旅行をするのもいいさ。仲良くなるのもいいだろう。お父さんごっこをしようや。だけど、それをどこで止めにする? お前らと仲良くなったら、いつかどこかでごっこ遊びを止めたとき、俺がどんなふうに感じるか――お前ら、それを一度でも考えたことがあるか?」

言葉としても内容としてもごもっともですが、それだけではなくて
たぶんこの当時の小説としては『大人が子どもに自分の弱い本音をぶつける』というのはかなり画期的だったはず。
大人は強いもの。子どもを守るもの。たとえやせ我慢であっても本音は言わない。
というのが出版当時の「世間のスタンダード」で、それを打ち破ったYAが出はじめてはいたものの、まだまだ浸透していない時代だったように記憶しています。

なので、今では珍しくないこの場面が非常に記憶にしみ込んでいるわけなんですよ。
今の時代に初読だったら、こんなふうにちゃんと憶えてなかったかもしれない…。

そういう「大人の本音」がありつつも、やっぱり『子どもは守られなくちゃいかん』と大人が思っていて
そのように動いてくれることで
この作品は良い作品だと思うし、読者が安心して読めるんじゃないでしょうか。
と、個人的に感じています。

人気作品で、あちこちで読むことができますが
わたしのイチオシはこの表紙!です。
読もうかな…と思った方がいらっしゃいましたら、この文庫でお読みいただけましたら
とってもとっても、とーっても!嬉しいです♪

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