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2008-09-03(Wed)

放浪の天才数学者エルデシュ


放浪の天才数学者エルデシュ


この本はこちらのブログで教えていただきました。
なんだかすごい本っぽいなぁと思い、読んでみたら
想像をこえたすごい本でした。

わたしはこの本を伝記にジャンル分けしましたが
それが正しいかどうか自信がありません。
だって、エルデシュ自身についてと同じくらい
数学の内容や、他の研究者についての記述もあるからです。
(とはいっても微分積分で完璧に挫折し、その後数学には一切かかわっていないわたしでも読めていますから、かなり噛み砕いたわかりやすい記述ですのでご心配なく)


この本の表紙が内容のすべてを物語っている気がします。
それくらい秀逸な表紙です。
かばんの中からあふれでる数学を詰めこみ
世界中を駆け巡り数学をし続ける伝説の数学者。
これって、他の科目の学者ではできなかったのではないでしょうか。
数学は紙と書くものがあればそれだけでいい
ということをエルデシュが証明しているかのようです。

彼が世界中を駆け巡ったのは
共同研究者が世界中にいたからです。
彼の生涯でかかわったそれらの人々は、エルデシュと直接仕事をしたために
エルデシュ数1
というナンバリングができたほど。
論文の数は1500と言われていますが、実際のところはもっと多いのかも。
名前があがってなくても、参加している論文はもっとあるはずなのですね。

著者は
「エルデシュは数学に使える修道士だった」
と彼を表現しています。
数学よりも優先されるものはなく、
「神はすべての数学定理の最高の証明が書かれている『ザ・ブック』を持っている」
と語るエルデシュ。なるほどぴったりな表現です。

三歳で暗算で三桁の数字同士の掛け算ができて
四歳で負の数を自ら見つけ出し
十一歳で初めて靴の紐を自分で結び
二十一歳で初めてパンにバターを塗ったエルデシュ。

たまらなくアンバランスで
そしてとても魅力的です。
そしてわたしが不思議に感じたのは
彼の強さと明るさはどこからきていたのか、ということ。


エルデシュは深く母を愛していました。
女性との交際も数学以外はなかったので
生涯において唯一の女性といってもいいと思います。
その母は、順番通りエルデシュより先に亡くなり
彼はその後ベンゼドリンやリタリン、カフェインなどをとるようになっていきます。
これらは覚醒を促す強い薬なので
たぶんエルデシュは薬物中毒に近い状態だったと推測されます。

このように薬物を常時摂取していたひとの評伝を何冊か読んでいますが
その人たちはたいてい強い不安を訴えて
仕事に支障をきたしているのですね。

エルデシュの抱えていた悲しみは
5年たっても
「母がいなくてとても悲しい」と友人に訴えるほど深いものです。

それほどの悲しみをかかえながらも
薬に乗っ取られることも、精神を病むこともなく
数学に自分のすべてをささげたエルデシュ。


著者がエルデシュに自分の書いたものを読んでもらったとき
エルデシュは一か所だけよくないといいます。
数学を目指す子どもたちに、
成功するためには薬物をのまなければならないと思わせたくないから
ベンゼドリンについては書くべきじゃなかったと。

彼が歩いた奇跡のような細い道を支えたのは
このような愛情深い健全な精神だったのだと感じ
エルデシュを心から尊敬します。

theme : YA(ヤング・アダルト)
genre : 本・雑誌

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Author:しろいまちこ
持病が活字中毒。

ちょっとカオスで変わってるセレクションですが
そのぶんディープです☆
安心して家族みんなで読むことができて
この本を買おう!ってくらい気に入ったとしたら
一生家に置いといて損なし
そんな本を選ぶよう心がけています。

来て&読んで
おつきあいくださり
まことにありがとうございます!

基本的にネタばれを気にせず書いていますので、内容を知りたくない方はご注意ください☆

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