半日村

半日村 (創作絵本 36)
斎藤隆介・滝平二郎コンビの絵本。
この絵本、もしわたしが山梨に住んだことがなかったらもっと実感が薄かったと思う。
わたしが生まれて育ったのは海沿いのところで
海から日が昇ったし
海に日が沈んだ。
日が昇るのはあんまり見たことがないけど
日が沈むのを見たいと思ったら5分か10分歩けばそれですんだ。
だから山梨に住んだときはちょっとおどろいた。
日の出も日の入りも紅くなかったから。
正確に言うと紅くはなるんだけど
そのときの太陽は山の向こうなので
直接見ることより
紅い照り返しを感じることのほうが多いのだ。
初日の出が紅くなくて、黄色いお日様なのはなんだかすごく不思議だった。
ちょっとの早起きで見られるのはうれしかったけど、やっぱり違和感を感じていた。
そんな経験があるから、わたしは半日村の
「半日しか日があたらない」
というフレーズにリアリティを感じる。
村には一平という男の子がいて、ある日山をみずうみにうめようと思いたち山に登る。
それをみたみんなは何をしてるのだと思い、笑いものにするけれども
そのうち少しずつ変わっていく。
一平は一見主人公のように見える
が、この本では話も絵も一平の姿や心を追いかけない。
一平の名前は出てくるけれど、あとになると絵の中のどれが一平かすらわからなくなる。
結局この本の主人公は人ではなく、みんなの行為で、そして村ということなのだろう。
これがこの本を地味にみせている要因かもしれないなーと
今の私は思う。
子どものころは強い印象をもたなかったこの本に
大人になって再開した時
不思議とひきつけられる気がした。
たぶん、その時は日常に疲れていたのだと思う。
大人になると、日々たんたんと過ぎていくことが多くなる。
長いような短い一日を繰り返し
その積み重ねで年月が過ぎていく。
トシとっちゃった、ってやつだ。
けれどその中でなにかを続け、積み重ねることができたら
いつかその成果は目に見える形で出てくるものなのだ。
そんなふうに思えて、力づけられた。
子どもより、大人向けの本なのかもしれない。
